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2017年5月13日 (土)

私が仕事をすると、なぜか男の嫉妬を買った

私は今までの仕事で、何人もの男子を育ててきた。
正社員でも、管理職でもないにも関わらず、なぜか私の下には部下?スタッフがつけられた。

そもそも、私が長くやっていた企画や、広報宣伝などの仕事は、その会社の社員だけでなく、広告代理店や、デザイン事務所、印刷屋さん、イベント設営の会社さんなどなど、数々の外注スタッフが関わるセクションである。
私が関わっていた商社では、営業部門などが「こんな商品を取り扱うことになったので宣伝したい」と企画部門に依頼をしてくる。
そこで商品の内容を私が取材し、誰がどんな風に使うものかを考え、ターゲットを絞って、そこへアピールするための手法を考えるのである。

大きな会社の場合は、丸投げで広告代理店に依頼できる。
代理店が私のやっている役割、商品を把握し、誰に、どんな風にアプローチすればいいか戦略を考え、その施行まで行うのだ。
その場合は会社の担当者は予算範囲内で出来るか、とか、社の意向に沿っているかなど、YES,NOだけやっていればいい。バカな担当者の場合は、本当に代理店担当者と上司のつなぎだけやっている人もいるくらいだ。

いい、悪いの判断さえ出来ない人間はデカイ会社ほど、星の数ほど居る。

しかし中小企業や予算の少ない会社では、代理店に丸投げは出来ない。
代理店の企画料、営業管轄費用が、マージンとして大きく乗るからだ。

その会社の為になるよう考えて、作戦を立て、それがスムースに進行するように数々の業者さんをハンドリングすると言う仕事は、高度で心身ともに労力のいる仕事なのだ。

しかし、私はその代理店マージンの代わりとして、社内に採用された。
本来なら、私の立場でも窓口だけやっていても罪は無いのである。
そういう社員はいっぱいいたのだから。

しかし、それでは費用の面でもクオリティにおいても、満足出来なかったのか。
それとも「業者にいいように操られている」気がしていたのか。
相手とチャンチャンバラバラができるだけの知識と経験を必要とする、ということで派遣の私が抜擢された。

だから、といって、私の時給を合算したら代理店に払う費用とトントンになっていたわけではない。
商品の担当者と協議して企画し、
予算を通すためにデータを集めてプレゼン資料を作り、
実際に会議に出て営業から「詳しくは企画担当者から。。。。」と私がプレゼンし
企画そのものが通れば、制作・企画運営のディレクターであり、進行係りとなる。

セミナーや展示会などイベントの場合は、会場や運営者と交渉し、
当日の内容を考え、そのシナリオを書き、何が必要か、誰が必要かアサインし
中身を作るのはもちろんのこと、実際お招きする「購入見込み客」の方たちへの対応や、イベントの様子を見に来る会社のおエラいさんたちのアテンド手配まで。。。。

なにもかも、である。何もかもやっているのに、ボーナスもなし、手当てもなし、働いた時間だけの時間給合算だったから、年間にして手取りは200万を超えることは無かった。

そんな薄氷の元に社外との窓口であり、社内の司令塔であり、実際のイベントのプレゼンターや司会者としても仕事をしていた。

大卒で普通に企業を選べる人にとっては、重圧と責任だけはあるが、実入りの少ない大変な仕事。

しかし私みたいに高卒で、個性の強いタイプの人間を受け入れてくれる職場は、そういう「誰もがやりたがらない大変な場所」しかなかったのだ。

とはいえ、計画や準備は一人て出来ても、実際に動くとなると当然ひとりでは出来ない。
だからこそ、社員でも、管理職でも、部長でもない立場なのに、司令塔としての私の指示で動いてくれるスタッフを与えられたのだ。

営業部門の若い男の子たち。
企画やイベントの知識はないが、言われたら動ける事務系の女の子たち。
彼らはみんな正社員だった。
そして私にスタッフを預けてくれる、営業部門の上司の人たち。
課長さん、部長さん、本部長さんたちは、とても良くしてくれた。
そりゃそうだ、賢いひとなら私にスタッフを預けることによって、自分たちの商品をアピールする企画が進む=見込み客の獲得に繋がるのだから。

だから私もそういう上司の意を汲んで、ただ指示を出して手伝わせるのではなく
「いま、きみがやっていることは、こういうことなんだよ?」と意味を教え
「いずれ自分がやる時が来たら、こういう時どうしたらいいと思う?」と自分だったら何をしたいか、何をすべきかを考えさせる指導を行っていた。

だから、最初私に預けられたときは
「営業で入ってきたのに、どうしてこんな派遣の女の言うことを聞かなきゃいけないんだ?」的な態度の若い男子社員も、イベントが進む頃には、進んで私の意見を聞き、終わりが近づく頃には「ここ、最初の予定と変わってしまったんですが、こういう風にしておきました、大丈夫ですよね?」と機転を利かせてくれるようになった。

そういう時、私は彼らをワンコのように褒めちぎった。
イイコイイコするばかりでなく、やるじゃん!解ってきたね!さっすがー、と。

「やめてくださいよ、イヌや子どもじゃないんですから~」と言いつつ、彼らは照れ笑いを浮かべながらも、背筋が伸びていった。

仕事の後の飲みの席でも、最初は「派遣の女なんて」とバカにして近づきもしなかった子たちが、どんどん私にお酌をしに来るようになった。
それだけでなく、やたら仕事の質問や、自分の考えていることを話しに来るようになった。

営業マン同士は、ライバルだ。その先輩に教えを請うことは出来ても、なかなか反論や、自分が常日頃思っていることはクチにしにくい。
「お前が言うな、実績もないくせに」とか「解ってないな」とバカにされたくないからだ。

けれど私は企画、という別部門の人間だから、話がしやすかったのかもしれない。

会社の中では、営業が一番エラく、その他の部門は自分たちを支援するための部署でしかない。そんな風にプライドだけ持たされていて、実績が伴わない男子はとても自分自身を居心地悪いものに感じている。

エラそーにしたいけれど、突っ込まれたらどうしようと怯えているのだ。
そんな時に、企画の手伝いに行けと言われたもんだから、自分は上司に見限られたのか?だからこんな派遣の女の手下をやれ、と言われたのかと傷つき、その怒りを私にぶつけてきていたのだ。

しかし、実際私に指示を出され、不満ながらも動いてみると、自分のしたことの成果が目に見えて解る。
自分がやらなかったら、イベントの段取りがどこまで崩れるのか、という恐ろしさも想像が付くようになる。

自分のやることが、誰かの助けになっている。
私がやっている企画の仕事を手伝っていることだけでなく、それは営業がアタックしにいくためにの「見込み客」を取るための仕事だということも、やっと繋がっていく。

一人ひとりの仕事は末端の点、に見えても、それがどういう流れの中にある重要な点なのかを、最終目標を一緒に見据えながら教えてきた成果である。

だからこそ、私と一緒に企画の仕事をして営業に戻ったとき「あいつ成長したわ」と、その上司からよく言ってもらうことが多かった。

派遣の女なのに、男性社員からは頭を下げられ、営業部門の上司たちからの信頼が厚くなり、本部長や社長からも声をかけていただき、ランチや会食に連れて行かれるまでになった。

しかし、ここに私の落とし穴が待ち受けていたのたである。

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